「涙を流すこと」と「書くこと」

何かを書かないと気が済まない。
若松英輔さんの本を読んだからかもしれない。

伝えたいことがあるからではない。
「何かを書かないと」と魂の表出を促そうとすると、どうしても「読む人に伝わるようにしなければ」という気持ちが少しだけちらついてくる。しかし、そんなものは無視だ。

何かを書かないと……の思いは、きっと、涙を流すのと似ている。
感情が時を迎えたときに涙は流れ、何かが昇華された気分になる。逆に、涙を流せない状況が続くと、どうにもできなくなって、頭の中でずっとぐるぐるしてはいないか。

涙を流すとき、それは意識的にするというより、ふつふつとした感情のせいで栓が外れ、どっと溢れ出てくるものだ。

言葉にしなければと思うときも同じで、ぶわあっと勢いを持って書き留める。そうすると自然と肩の荷が下りるような感覚になる。

今日立ち寄った本屋さんで、「書くのではなく伝えるのだ!」と、書いてある書籍があった。自分の感性とはまったく真逆だと思った。すぐ棚に戻した。