痛い / 秀吉

群馬のバンド「秀吉」の新譜『痛い』。2月24日の0:00に配信開始されてすぐに飛びついてダウンロードした。『かけら』『風に吹かれて』『いまならいまさら』の系譜のありあまるシティ感で、Bメロでは浮遊感を堪能する。そしてサビは秀吉の泥臭さとエモが混じってくる。通勤の電車で、歌詞を起こしてみたりした。20時になると、告知通りYoutubeにてMVが公開された。

 


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『お気に召すままに』に続いて飯塚花笑監督で嬉しくなった。今回はやけに没入感があって、なんだか、星野源の『くだらないの中に』の「首筋の匂いがパンのよう」というフレーズをはじめて耳にしたときと似た気持ちになった。そういう生々しさとか、鮮烈さを憶える質感の作品だと思った。MVの中の彼らの視線と、上履き(体育館履き)を履いた足の動きや距離に、体温を強く感じる。

二人して進んで傷をつくったと信じていたのに、結局瘡蓋(かさぶた)を引っ掻いてしまうのは自分だけだった。片や相手の傷は綺麗に治っていく(ように見える)。どうして平気な顔ができるんだ。そもそも傷なんてついてなかったのかもしれない。昂る感情をぶつけても伝わらなくて、もっと切なくなる。吐き出す場所もなく虚しく一人踊る。

それでも多分、これからも自分の意思で瘡蓋を引っ掻いて、痛がって過ごしていくんだろう。